総勢14名のプロジェクトが進行中!ユニークでラブの詰まった山都ラボ発表会
山都町の人材育成事業『チャレンジ・応援!山都ラボ』では、山都町をフィールドに自分でプロジェクトを立ち上げて楽しみながら活動する町内外の方を『プロジェクトオーナー』としてサポートしています。
今回の記事では、令和4年度から2年目継続の1期生と、令和5年度の2期生それぞれのプロジェクトオーナーたちが取り組みを発表した集会の様子をお伝えします。
山都ラブたち、ここに集結!
今年で2年目を迎えた『山都ラボ』。この日は、プロジェクトオーナーたちが今年度取り組んできた内容を広く一般に発表する催しが開かれました。その名も、
『チャレンジ・応援!山都ラボ』第四回集会
ー集まれ、山都ラブたちよ。ー
このタイトルの通り、山都町への愛に溢れた発想からなるプロジェクトを進めるプロジェクトオーナーたちと、それに関心と期待を寄せる町内外の皆さんや、関係者の方々など多くの来場者が集いました。
2年目となる今年度の『山都ラボ』の特徴は、「山都町に住んではいないけれど、地元に関わりたい」という思いで参加しているプロジェクトオーナーが多いということです。
今年度チャレンジしているプロジェクトオーナー14名(1期生7名・2期生7名)のうち、山都町出身者は10名と、その多くが地元出身者。さらに、山都町在住者は14名中5名で、「山都に住んでいないけれど、何らかの形で山都に関わりたい、何かやってみたい!」という思いの方も多いことが伺えます。
それだけ、新しいことに挑戦したいと思わせるフィールドやポテンシャルが山都町にはある、と感じている人が多いという表れかもしれません。
多岐にわたる山都ラボプロジェクト
14名のプロジェクトオーナーたちは、プレゼン形式のステージ発表と、来場者と直に話しながらプロジェクトに触れてもらうブース交流に分かれて、それぞれの活動内容を伝えていました。
当日の発表内容の全ては、次の動画でご覧いただくことができます。
この記事では一部の様子を紹介します。
1期生 井上千代美さん:巫女舞神楽継承プロジェクト
山都ラボ全体のオープニングとして、新たに習得した『豊栄の舞』を披露。今年から舞手として加わった高校生の北所さんと一緒に、優雅な舞いで会場を魅了しました。
井上さんのインタビュー記事はこちらからどうぞ。
1期生 塚本美樹さん:山都町の歌「未来かけるふるさと」を届ける
山都ラボのイベントではもはや恒例になりつつある、「山都町の歌 未来かけるふるさと」の生演奏を披露。その後のプレゼンでは、拠点の福岡で生まれた新たな動きを報告してくれました。
塚本さんの記事はこちら。
1期生 植村真穂さん:かけて焼くだけ!旅するジビエスパイス
令和4年度の山都ラボで開発した『旅するジビエスパイス』。一般販売に向けて、令和5年度はクラウドファンディングに挑戦しました。
植村さんの記事はこちらから。
1期生 山本一憲さん:夫婦岩復活プロジェクト!!【クライミングで地域活性化Vol.2】
開拓系クライマーの山本一憲さんは、クライミングエリアの公開に向けて整備を進めている『夫婦岩』の様子を紹介。地域住民、町外からのクライマー、メディア関係者など、活動を通して多くの交流が生まれている様子でした。
本人の記事はこちら。
2期生 飯干秀美さん:香りでSDGs 〜子供たちには香育を、大人には嗅覚を使ってより楽しく長生きできる町づくりを目標に〜
2期生の飯星さんは、自身が資格を持っている『*嗅覚反応分析』の体験会をブースで実施。今後も活動を通して多くの方の健康に貢献したいとのことでした。
2期生 下田円美さん:山都町の食材を活用した、発酵調味料開発
味噌の製造販売や味噌づくりワークショップなどを通してこれまでも発酵食の普及に取り組んできた下田円美さんは、今回の山都ラボを活用して新たな発酵調味料の開発にチャレンジ。山都町の米を加工した米糀を使用し、塩糀・梅糀の2種類を開発しました。今後は道の駅などでの販売を目指すとのこと。
2期生 山下久留美さん:人、自然、未来を繋ぐ森林浴リトリート!!
12月に8人目のお子さんを出産したばかりの山下久留美さんは、会場に来れない代わりに事前作成した動画でプレゼン。森林リトリートの様子について発表が行われました。山都町のファンを増やし、山都町の大自然を未来に残していくため、今後は1泊2日のツアーも開催したいそうです。
その他にも多くの発表が行われ、会場では活発な交流がみられました。
パーパスが全ての原動力に
この日の最後には、山都町でハンドメイドのアイスクリームショップ「BLANCO ICE CREAM」(ブランコアイスクリーム)を営む吉山龍弥さんによる講演『山都町の小さなアイスクリーム屋さんが考えた、地域でのチャレンジに大切なこと』が行われました。
山都町の旧矢部町出身の吉山さん。大学ではリハビリテーションを学んだ後、県外で就職。作業療法士として小児のデイサービスや、発達障害専門外来の立ち上げなどに携わってきました。
その中で、福祉でのソーシャルビジネスを学びたいという思いが芽生え、福祉系大手企業へ転職して経験を積み、現在はUターンして山都町内の整形外科で作業療法士として働く傍ら、週末や隙間時間をうまく利用して、自身のアイスクリームショップの経営も行っています。
さらには昨年度、山都ラボ1期生として、山都町産のオーガニックハーブの栽培とハーブティーの商品化に挑戦し、その活躍の域を広げています。
吉山さんのインタビュー記事はこちら。
吉山さん
今日お伝えしたいことは、もうこの一言です。「打席に立って、バットを振ろう」ということです。
開口一番にこう語るように、山都町で多くのスモールビジネスを展開していきたいと考えている吉山さん。そこには、新卒で就職した施設での原体験ともいえる経験がありました。
吉山さん
山口県で発達障害領域の部門に配属になって、新卒で、子どもと関わった経験もない自分に対して、障害を持つ子どもの親御さんたちが、藁をもすがる思いで僕を頼ってきてくださった。
その時、初めて人から頼りにされるという経験をしました。そして、僕の中に使命感というものが芽生えました。目の前の子どもたちに何かできることはないかなと必死で考えていた記憶があります。
そんな中で、ある親御さんのこんな言葉がありました。
「この子が社会に出た後、安心して働ける場所はあるんですか。親亡き後、この子達はどうなっちゃうんですか」
当時、この言葉に対する返答を見つけられなかったという吉山さん。大きな問いを前にして、自分の無力さや小ささを感じながらも、やがてそれは吉山さんの確固たる信念へと繋がっていきました。
吉山さん
将来的にこの子たちが生き生きと働ける場所を作りたいと思ったのが、最初に何か自分でやってみたいと思ったきっかけになりました。
(中略)
一番大事なことは、僕はやっぱり「*パーパスを持つ」ということだと思います。パーパスというのは、目的とか志というふうに訳されることが多いんですけど、これが事業をやっていて何よりも大事だと感じました。自分が何のためにこの事業をやっているのか、この事業を通してどう社会に、山都町に貢献できるのかっていうことが大事だなと感じています。
吉山さん
このパーパスがあると、自分が企画するプロダクトに自然と熱が入って、すごくいいものができあがると思います。例えば、「この事業をやめにしようかな」と大きな壁にぶち当たった時に一番心の支えになるのも、やっぱりこの目的だったり志、「パーパス」だなっていうのは僕自身感じています。
「目の前の子どもたちの将来のためにできることを」という原体験から繋がった、吉山さん自身のパーパス。それは、時を経ても、場所を変えても変わらない、人生の指針ともいえる揺るがない軸になりました。吉山さんは、山都町でのスモールビジネスの展開の先に、高齢者や障害のある方の雇用の創出を見据えています。
今年度活動している14名のプロジェクトオーナーたちにも、きっとそれぞれのパーパスがあります。思いがあるからこそ、動き出せる、続けられる、繋がれる。
この日、ここに集った多くの人がお互いの想いに共感し、山都町にさらなる新たなエネルギーと可能性を生み出すことを予感させました。
“山都ラブ”たちの今後の動きにも、ぜひご注目ください。
◇山都ラボ ラボサポーター申し込みフォーム
https://forms.gle/6z4jXk7ZreNihGKs8
企画制作:合同会社ミミスマス
文/写真:中川薫