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発起人チームのTHE INAKAMONに聞く、やまとしごとSTOREのこれまでとこれから。

山都町で様々なお仕事に取り組む大人たちと高校生とのマッチングイベント、『やまとしごとSTORE』。令和4年度からスタートしたこの事業、発端は過去に行われた町の人材育成事業でした。

今回の記事では、『やまとしごとSTORE』の立ち上げチーム『THE INAKAMON』の皆さんに、やまとしごとSTOREが始まった経緯についてお聞きしました。


『山都経営塾』から生まれた、やまとしごとSTORE

『THE INAKAMON』は、令和3年度に実施された山都町の人材育成事業『山都経営塾』の参加者で結成されたチームです。メンバー構成は、

・山都町役場 荒木達也さん
・山都町役場 藤原義嗣さん
・山都町役場 柴田智洋さん
・特別養護老人ホームそよ風の里ほたる 今村詩織さん

役場職員3名に民間1名の計4名。今回は、このうちご都合のついた荒木さん、藤原さん、柴田さんの3名にインタビューを行いました。

左から順に柴田さん、藤原さん、荒木さん

山都経営塾の中でやまとしごとSTOREのアイディアが生まれていった経緯について、皆さんは次のように語ります。

藤原さん
最初、経営塾に声をかけられたとき、それぞれが考えている町の課題について個別のヒアリングがあって。町から若者がいなくなってしまうという課題で、ある程度考えが近い4人でグループ分けされてこのチームができました。自分たち3人は町の職員なので、民間の今村さんが1人入ってくれて良かったですね。

荒木さん
若者が町に定住するには仕事が必要だよね、という話から、3回目ぐらいの会議で就職説明会の話になっていった記憶がありますね。藤原さんの娘も、うちの娘も矢部高校にいて、自分がその当時の保護者会長で高校とのつながりもあったので、高校生を対象にした就職説明会、ということで話を進めていきました。
実行まで持っていけたのは、学校との連携がとれたのが大きいですね。具体的な話ができたので実現までいけたのかなと。事前にアンケートをとって生徒たちの気持ちも聞けたので。先生たちも非常に協力的になってくれました。

生徒の意見をアンケートで把握しながら企画が進められた

自身の子どもの進路という、非常に現実的なテーマがあったからこそ実感をもって進められた『やまとしごとSTORE』の企画。山都経営塾での発表の様子は、You Tubeからご覧になれます。

◯令和3年度山都経営塾発表会(THE INAKAMONの皆さんの発表は39:06から)


子どもたちが将来の目標を掴むために

元々は、町に住む若者を増やしたいという考えで始まった『やまとしごとSTORE』。ですが、ねらいはそれだけではないようです。

荒木さん
自分が高校生のときは最後の最後、ギリギリまで進路を決めなくて(笑)、とりあえず公務員の試験ば受ける、という感じでした。でもやっぱり、子どもの頃からある程度方向性が決まってた方がいいと思います。本人も目標ができるし、親からみても目標がはっきりしているとサポートしやすいので。目標もなく大学に行って、大学でなにか目標ができればいいですけど…

藤原さん
自分の子どもは絵を描いたり、工作したりするのが好きで。自分で考えた建物をイメージするのとかが好きで、高校のときには建築士になりたいと考えてて、ある程度目指しているものが決まっていたので、それで建築系の学科がある県立の大学へ行きました。

ー高校のときの進路選択って、そもそも何がきっかけになるんでしょうか?

荒木さん
どういった職業があって、具体的にどんな仕事をしているのかっていう情報が高校生ぐらいのときにいっぱい入ってくると、興味を持つ、持たないというのが絞られていくのかなと。さすがに高校でプロ野球選手になりたいとかは無くなって、現実味を帯びた夢になっていきますよね。

やまとしごとSTOREのロゴ。
イラストが得意な荒木さんのお子さんが、4種類を作ってくれたそう

インターネット上には情報があふれる一方で、実際に地域で暮らすなかで子どもが得られる仕事の情報はほんの一握り。そのため、やまとしごとSTOREでは、生徒が様々な職業に触れる機会をつくることで、子どものうちから働き方のイメージを持ってもらうキャリア教育としての意図もあります。そうすることで、高校や大学の貴重な時間をより有意義に使ってほしい、という親としての願いが込められています。

UIターンのきっかけをつくりたい

企画を立ち上げた令和3年度はコロナの影響でイベントが実施できず、令和4年度に第一回のやまとしごとSTOREが開催。矢部高校の全校生徒を対象に、初回は山都町内の13事業者が参加しました。新型コロナウイルスの影響のためブース形式ではなく参加事業者からのプレゼン形式でしたが、事業者の満足度は100%となりました。

令和4年度『やまとしごとSTORE』の様子


そして令和5年の7月には第二回が開催。15事業者が参加してブース形式で生徒との交流が行われ、会場は大変な熱気となりました。

令和5年度『やまとしごとSTORE』の様子。ブース形式で進められた
山都町役場のブースでは荒木さんも参加して生徒と交流

令和5年度に実施されたやまとしごとSTOREイベントの様子は、こちらの記事でも紹介しています。

これまでの実践について、チームの皆さんは次のようにふりかえります。

藤原さん
1年目は当初想定していたブース形式ができなかったから、聞いていた高校生も少しきつかったかもしれないけど、2年目の今年はブース形式でできて良かった。これからさらに良くしていきたいですね。

荒木さん
ブース形式でも大人の方から話をして時間が過ぎてしまったんで、もうちょっと活発に生徒と事業者でやりとりできるといいかな。一方的ではなくて。やりとりがあれば、最初はその仕事に興味がない子でも興味が出てくるかもしれないですしね。

藤原さん
今年のイベントが終わった後に、「なんでうちの会社は呼ばなかったんだ」と地元の企業に怒られたりもしましたね。

荒木さん
運営側から事業者さんにお願いするのではなく、公募にした方が事業者さんのやる気が上がっていいのかなとも思います。本当に人が欲しいとか、お金を払ってでも出たいというような事業者の方が、パフォーマンスも上がっていくのかなと。

藤原さん
高校生だけじゃなくて大学生やUターンの方たちも含めて、山都町で働くための1つの道筋を作れるといいなと思います。たとえば病院に勤めるなら町内に、みたいに、同じ職種に就くなら町外ではなく町内に行く方向に持っていけたらと。

柴田さん
高校生はいろいろなところで就職の話を聞くことがあると思いますけど、帰ってくる・こないに関わらず、きっかけになってくれればと。自分もまだ22歳なので、同世代の人たちが帰ってくることを信じて、自分も地元でがんばりたい、というような人が増えてくれるといいなと思います。

高校卒業後、役場職員として山都町にUターンした柴田さん(写真中央)

今年度の成果に納得しつつも、継続性や発展性という視点からはまだまだ改善の余地あり。発案者の想いを受けて、今後のやまとしごとSTOREはきっとさらにパワーアップしていくことでしょう。

地元で働き、地元で暮らすことの価値が見直されて、若者の活気と田舎の良さが両立した山都町になっていく。夢のような話ですが、実現に向けた現実的な一手として、やまとしごとSTOREが今後も継続していけばと思います。

企画制作:合同会社ミミスマス
インタビュー/文:内村光希
写真:上野諒

#やまとしごとSTORE

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