【山都ラボインタビュー】マウンテンバイクコースをDIY! 出会いの数だけ生まれる地域活性の可能性:山本隆史さん
山都町の人材育成事業『チャレンジ・応援!山都ラボ』では、山都町をフィールドに自分でプロジェクトを立ち上げて楽しみながら活動する町内外の方を『プロジェクトオーナー』としてサポートしています。
今回の記事では、令和5年度にプロジェクトオーナーとして参加し、今年度も継続して山都町で活動を続けている山本隆史さんを取材しました。
プロフィール
名前:山本 隆史(やまもと たかし)
出身地:山都町
居住地:菊陽町
プロジェクト:
マウンテンバイクで地域再生、鳥獣被害削減プロジェクト
今年、山都町中島地区の城尾山に新しくマウンテンバイクコースが開設されました。その名も「ナカシマMTBパーク」。立役者となったのは山都町出身の山本隆史さん。令和5年度から山都ラボのプロジェクトオーナーとして活動を続けています。ご自身も長年マウンテンバイクに親しみ、息子さんは日本でもトップクラスのライダーとして活躍しています。
地域活性の願いへ、マウンテンバイクで挑戦
山本さんがマウンテンバイクをはじめたのは、お子さんが生まれて間もない頃でした。
山本さん
「最初はバイクをやりたいなと思っていたんですが、割と値段がするので、自転車でいいかなと思って。36歳の時、仕事場の近くにあった自転車屋さんに入ったのがきっかけです。
息子は2歳になった頃から自転車に乗りはじめて、小学4年生で下り用のフルフェイスのヘルメットをもらったことを機に、下り(ダウンヒル)のレースに入りました。ちょうど(御船町の)吉無田高原のレースが最初でした」
▼ 山本一晴選手のInstagramはこちら
熊本ではマウンテンバイクの常設コースが当時から吉無田高原にしかなく、息子さんのライダーとしての練習場所をいろいろなところに欲しいという思いがずっとあったのだと話します。
そんな折に、山都町でのある出会いが訪れました。
山本さん
「高速道路ができて、たまたまこの辺り(中島地区)で降りたところのお店でご飯を食べている時に地元の方と知り合って。『高速ができて今後区間が伸びるので、車がこの辺を通り過ぎてしまうようになる。ここへ人が降りてくるような何かができないか』という話を聞きました」
地域を何とか盛り上げたい住民の思いと、マウンテンバイクに乗れる場所を開拓したい山本さんの思い。そのふたつがうまく繋がりあって、「マウンテンバイクコースで地域活性」というプロジェクトに一念発起した山本さん。それからは週末に中島地区へ通い詰め、約2年半をかけて山中に2つのコースを新設しました。
山本さん
「基本的には昔の馬車道、生活道だったところを利用してコースにしています。溜まっていた落ち葉、扶養土を全部かき出して、雑木を切って。それに2年半かかりました」
山都ラボにはプロジェクトオーナーとして2年連続で参加する中で、今までにない人と交流やオーナー同士の繋がりが増え、自分のプロジェクトを手伝ってくれる仲間も出きたり、役場との調整もスムーズに進むなど、一人では難しかった周囲からの協力体制を得られたといいます。
念願のMTB大会を開催!
今年10月27日にナカシマMTBパークで開催された初めての大会「YAMATOサイクルフェス2024」。ジャンプ台も設置された激しい下り傾斜を含む2つのダウンヒルコースで、その合計タイムを競います。
大会には27名がエントリー。九州各県をはじめ、遠くは広島、山口、愛媛からも参加者が集いました。
山本さん
「マウンテンバイクってなかなか乗る場所がないので、遠いところからも来てくださいました。今後は常設でやろうと思ってるので、みんなが飽きないようにコースを増やそうと思っています。
そして、コースを作らせてもらう山の持ち主の方々との調整や、レースの時の駐車場はどこにするか、公民館を貸してもらうなど、地元の方に色々と手配してもらって本当に助かりました。一人ではとてもできなかったことです」
大盛況となった初の大会。山本さんの地道な努力で辿り着いたこの日の成功に欠かせなかったのは、山本さんを地域に招き入れ、その後も温かく協力してくれている地元の方々の懐の深さに他なりません。
広がっていく山の活用性
2つのコースを完成させた山本さんの、次なる展望を伺いました。
山本さん
「今後はコースを常設して収益を上げて、コースの拡充や整備をしつつ、できれば地域に還元できるようなこともやっていけたらと思っています。ゆくゆくは自転車のコース以外としても使えたらと。
今考えているのは、ドローンの撮影会場としての活用。山の中でドローンを飛ばせる場所がなかなかないということを、先日神奈川から撮影に来た方に聞きました。
それと、この場所を認知してもらうためにもトレイルランをやったらどうかと。
山って、いろんな活用の仕方があると思うんです。使ってない田んぼを使っていいよという話もあるので、そういったところで車中泊できたりキャンプできたり、そんなことも考えています」
マウンテンバイクから始まった山の開拓。それを進める中でたくさんの出会いがあり、協力があり、アイデアが生まれ、次の新たな開拓へとつながっていく。まさに、山の活用・土地の活用方法はひとつではありません。
出会いの数だけ可能性が広がっていくのだということを、この山本さんの取り組みが私たちへ教えてくれているようです。
◇Facebook
山本隆史さん
https://www.facebook.com/takashi.yamamoto.142
ナカシマMTBパーク
https://www.facebook.com/profile.php?id=61557443095610
◇Instagram
ナカシマMTBパーク
https://www.instagram.com/nakashimamtbpark/
◇山都ラボ ラボサポーター申し込みフォーム
企画制作:合同会社ミミスマス
インタビュー/文/写真:中川薫