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『やまとしごとSTORE』で高校生に伝えたい! 山都町で働く大人の本気のエール

『やまとしごとSTORE』は、山都町を中心とした地域で活躍する複数の事業者と学生が一同に会し、働く大人の人生や仕事への思いを伝える中で、将来「働く」ことを学生の皆さんに自分ごととして捉えてもらい、将来の選択へと活かしてもらう、そんなイベントです。

山都町が実施した人材育成事業『令和3年度山都経営塾』の移住定住グループの発案が発端となり、イベントとして開催し始めて3年目を迎えます。

今年も熊本県立矢部高等学校を舞台に、「ぜひ生徒たちと話がしたい!」という思いを持った15の事業者が集結し、校舎全体をまるまる使った大規模な催しとなりました。今回の記事では、そんな令和6年度『やまとしごとSTORE』の様子をご紹介します。

▼『やまとしごとSTORE』ができるまで
https://ymt-town.note.jp/n/n3c316ffa3ef1

▼『やまとしごとSTORE』昨年度の様子
https://ymt-town.note.jp/n/n57d711cc9a89?magazine_key=m536915165815


まずは、地元の仕事を知ってもらうこと

『やまとしごとSTORE』の最終的な目標は、山都町の子どもたちに「自分も山都町で働きたい、いつか帰ってきて暮らしたい」と思ってもらうことです。
その第一歩として、高校生のうちに地元の様々な職種に触れてもらい、実際に働く人の思いを聞く中で、「自分の住む場所にこんな会社があるんだ、こんな仕事があるんだ、こんな人が働いているんだ」と、まずは知ってもらうことをとても大切にしています。

その先に、山都町での就職を視野に入れたり、将来的にUターンするきっかけに繋がる体験になればというのが、『やまとしごとSTORE』の目指すところです。

矢部高校の全校生徒が今回のイベントに参加しました

15事業者×矢部高校生!

令和6年度は、山都町を中心に町内外から15の事業者が参加しました。事業者ごとに各教室にブースを設置し、20分を1セットとして、全校生徒たちは各自3つの事業者を回って話を聞きました。

参加事業者(順不同)
・九州日誠電氣株式会社
・社会福祉法人三和会 そよ風の里“ほたる”
・社会福祉法人日生会 養護老人ホーム 浜美荘
・医療法人幸翔会 瀬戸病院
・田上彰司法書士・土地家屋調査士・行政書士事務所
・なかはた農園
・合同会社笑顔の食卓
・株式会社ランバーやまと
・矢部開発株式会社
・熊本バス株式会社
・肉のみやべ
・ゆずの木ねむの木みずたまの木
・自衛隊 熊本地方協力本部
・山都町役場 総務課
・山都町役場 山の都創造課

事業者の皆さんには事前に2つの紹介シートの準備をお願いし、それらを元に生徒たちへ熱意のこもった対話をしていただきました。

①紹介シート 個人編:
担当者個人の山あり谷あり人生グラフ、今の仕事に就いた背景など
②紹介シート おしごと編:
会社紹介、仕事の内容、やりがい、働く中で感じている意義など

各事業所のブースに分かれて話を聞きました
人生グラフでその人の背景を知ると、自然と親近感が湧いてきます
緊張気味だった生徒たちも、ようやくリラックスモードに
仕事や地元への思いに熱がこもります
色々な装飾や説明資料で、事業者ごとに工夫を凝らしてくださいました
話に引き込まれる生徒たちの、この表情!

生徒からは「毎年開催してくれてありがたい」の声も

ここで、参加した生徒や事業者の皆さん、見守った先生方からいただいた事後アンケートの一部をご紹介します。

<事業者の声>

・初めての参加で、説明不足もありましたが、生徒に魅力を伝えることができたかなと感じています。山都町の企業として、地元の高校から就職してもらいたいと考えています。

・生徒さんたちと交流できて楽しかったです。継続して会社をPRしていきたい。

・若い人達に地元での仕事に興味を持って欲しい。

・「半導体組立」いう普段身近に感じにくい仕事が、町内にある事を生徒の方々に直接説明できた。今後も当社の仕事について生徒に紹介する機会を持ちたい。

・今後、過疎地における士業不足は大きな問題となる。中学生にも広げて欲しい。

<生徒の声>

Q. イベント中に聞いた話の中で、特に印象的だったことについて教えてください。

・自分から率先して動ける人、わからないことをわからないと言える人などが会社がほしい人だということがわかりました。

・一度山都町から出てみると見方が変わる。

・山都町には気づいていないだけでいいところがたくさんある。

・どの事業者さんも「ありがとう」と言われるとやりがいを感じるとおっしゃっていたこと。それぞれの仕事で話し方(ゆっくりめ/強い言い方/身振り手振り/声のトーン)だったり、イメージが違った。

・司法書士の方の「資格を得るための勉強は一時、仕事のための勉強は一生」という言葉

・「自分らしく居られる場所で働く」という言葉を聞いてこれから先進路を見つけていくに当たって心がけて行きたいなと思いました。

・どれも今の山都町に必要な仕事で、中には後継者不足が問題になっている仕事もあったということ

Q. 今回のイベントを経て、自分自身の将来に向けて、これからどんなことをしていきたいですか?

・自分の興味のない職種でも見てみること。自分の得意不得意で考えるのも大事だけど、質問をすることも大事だなと思いました。(見た目だけで決めつけないこと。)

・しっかり自分と向き合って将来について考えていきたい。

・自分の進路に山都町で働くことも考えたい

・自分の進路として県外へ進学することを考えているから、話の中でも多く出てきてように外部から地元を客観的に見て、卒業後の進路を考える材料にしていきたい。

Q. その他、やまとしごとSTOREについて何かコメントがあればご記入ください。

・毎年開催してくださるお陰で、自分が将来就きたい仕事の幅や意見が確定していくので、とてもいい機会になるのでありがたいです。

<先生の声>

・生徒が普段聞けない話を聞くことで生き生きしていたような気がします。

・昨年度参加した企業以外の方々も多く、新鮮な話が聞けよかったです(後日の生徒感想の中にも昨年度と同じ業者さんではなかったからよかったと言っていた生徒がいました。)企業の方々の善意が大変ありがたい。

・山都町のことを生徒に知ってもらうことは、1年生〜3年生すべての生徒に、少しずつ異なる視点で有益であり、進路学習としては大変良い取り組みである。町、企業、学校の3者すべてにメリットのある取り組みでもある。

おわりに

「働く」ということは、まさに学校だけでは学べないこと。そこに地域が入っていくことで、アンケートからも見て取れるように、事業者・生徒・学校それぞれに得られるものがあったようです。

『やまとしごとSTORE』が始まって3年。地域内外の多くの方から協力をいただきながら開催を続けているこの取り組みが、子どもたちのこれからの指針となり、働く人の今の活力となり、山都町の元気な未来へと繋がっていく。継続することでその意義も自ずと付いてくるのだと、生徒の声から改めて感じさせてもらいました。

企画制作:合同会社ミミスマス
文・写真:中川薫
編集:内村光希